ラテアート
SPECIAL

サードウェーブコーヒーの今

「コーヒーを飲む」という行為が、いま大きく変わりつつある。豆の産地、焙煎の深さ、抽出方法——かつては「ブラックかミルクか」程度だった選択肢が、ワインのように細分化され、奥深い世界へと広がっている。それがサードウェーブコーヒーだ。今回は、その背景から楽しみ方まで、丁寧に解説していく。

WHAT IS

スペシャルティコーヒーとは何か

サードウェーブコーヒーとは、コーヒーを農産物として捉え、産地・品種・精製方法・焙煎・抽出までのすべてのプロセスにこだわる潮流のこと。1990年代にアメリカで生まれ、2010年代以降に日本でも急速に広がった。

スペシャルティコーヒーとは、コーヒーの国際的な品質評価において100点満点中80点以上を獲得したものを指す。全生産量のわずか数パーセントしか該当しない、品質の高いコーヒーだ。

コーヒー豆のクローズアップ

エチオピア産のゲイシャ種。フルーティーな香りが特徴

生産地でのトレーサビリティ(追跡可能性)を重視するのも特徴のひとつ。農園名・標高・精製方法などがラベルに明記され、コーヒーの「物語」まで楽しめる。

ORIGIN

産地の個性を知る

コーヒーの味わいは、産地によって大きく異なる。エチオピアはベリーのような果実感、コロンビアはほどよい酸味と甘さのバランス、インドネシアはアーシーで重厚な風味が代表的だ。

「豆の産地を知ることは、そのコーヒーが生まれた土地の気候・文化・人々を知ることでもある。一杯のコーヒーには、長い旅と多くの人の手仕事が宿っている。」

最近注目されているのが、パナマ産のゲイシャ種。ジャスミンのような華やかな香りと、繊細な風味が世界中のコーヒー愛好家を魅了している。1杯数千円の価格がつくこともある、コーヒー界の最高峰だ。

ROASTING

焙煎の深さで変わる味わい

コーヒーの焙煎 焙煎機

浅煎りは豆本来の果実感・酸味が際立ち、スペシャルティコーヒーらしい複雑な風味を楽しめる。深煎りになるほどビター感・コク・甘みが強まり、アイスコーヒーやエスプレッソに向く。

サードウェーブ系の専門店では、浅〜中煎りを得意とするロースタリーが多い。同じ豆でも焙煎度合いで全く異なる表情を見せるため、同一農園の浅煎り・深煎りを飲み比べるのも楽しみのひとつだ。

BREWING

抽出方法の多様性

ハンドドリップでコーヒーを淹れる

ハンドドリップは、湯の温度・速さ・量を手で調整する。バリスタの技術が味に直結する

ハンドドリップ、エアロプレス、サイフォン、フレンチプレス——抽出方法によってボディ感や味のクリアさが変わる。スペシャルティコーヒーの繊細な風味を引き出すには、ハンドドリップが最も適しているといわれる。

また、エスプレッソベースでもスペシャルティ豆を使う店が増えている。従来のブレンドより酸味が立ち、フルーティーなラテに仕上がる「スペシャルティラテ」は、新しいコーヒー体験として人気が高い。

HOW TO ENJOY

はじめてのスペシャルティコーヒー、楽しみ方のヒント

まずはバリスタに「今日おすすめの豆は?」と聞いてみよう。産地・精製方法・焙煎度まで丁寧に教えてくれる店がほとんどだ。ミルクや砂糖なしで飲むことで、豆本来の個性が最もよく伝わる。

気に入った豆があれば、100gから購入して家でも試してみるのがおすすめ。挽きたて・淹れたての差を知ることが、コーヒーをより深く楽しむ第一歩になる。

バリスタがラテアートを描く

バリスタとの会話が、一杯の魅力を何倍にも広げてくれる